2011年7月30日土曜日

ビジネスへの道「モーリシャス共和国」


外国人投資家は、タックスヘイブンでこそないものの、アフリカへの都合のよい「入口」である、モーリシャスやケニアのような国へ群がっている。安定 した財政と政治のため、かつては幅広い支持を集め、アフリカへの唯一の入り口と見なされていた南アフリカは、煩わしい税制が不利に働き、いまや後ろに取り 残されている。
こうした南アフリカに代わり、安定した政治情勢、低い税率に加え、為替管理がないことも手伝って、モーリシャスは海外直接投資と外国機関投資家の両 方にとって都合のよいルートになっている。 2009年及び2010年には、同島は120万人の人口で2兆5830億米ドルに及ぶ海外直接投資を引き付けた。同政府財務省の法令税制企画のキース・エ ンゲル主席理事は、「モーリシャスは投資家に便利な制度で利益を得ています」と認める。「モーリシャスは、イギリスにとってのマン島や、カナダにとっての バルバドス島、アメリカにとってのケイマン島やバハマのように、南アフリカにとって主たる競争相手です。」
モーリシャスの平易な租税構造、すなわち15%で定率の個人及び法人税率は、外国人がグローバルな経営拠点及びアフリカ地域の本部としてモーリシャ スを利用するうえでのインセンティブになっている。また、為替管理や資本税、相続税がないことは、オフショア投資の目的地として魅力を放っている。「モー リシャスは、主に緩やかな税制を売りとし、アフリカでの業務に投資する拠点としてモーリシャスを利用するため年々増えている外国及び南アの企業を、誘致す ることに成功しています。」と、南アを代表する法律事務所であるワークスマン法律事務所の税制部長アーネスト・マザンスキーは言う。
モーリシャス以外の国から運営されており、業務がモーリシャス・ルピー以外の通貨で行われる企業であるGBL1企業として登録されるグローバル企業 には、さらに大きな税制上の優遇措置がある。GBL1会社は、南アフリカでの34.5%と比べ、わずか3%の税率しか課税されない。「私たちはホットケー キを売るかのように、GBL1スキームを縦横無尽に売り歩いています。」と、オフショア・コンサルタントのロクサンナ・ニィリエは言う。その他の利点に加 え、GBL1には配当税も、支店利益の送金上の源泉税も、受取利息の課税も非居住者には課税されない。印紙税、登記義務も登記課税もない。
これらにより、モーリシャスは「インド洋のガーンジー島」と評されるまでになったが、一方でモーリシャスはクリーンな地域と考えられている。主要法 律事務所のアフリカ広域ネットワークである、「Lexアフリカ」のサイト上で、デ・コマーモンドアンドケーニッグ法律事務所のカミール・ポーレティー弁護 士は「モーリシャスは租税回避地ではありません、低租税地です。」と書いている。
経済協力開発機構(OECD)加盟国及び、主要20カ国G20からの政治的圧力があり、タックスヘイブンは、透明性の確保および他国に協力して脱税 とマネーロンダリングを抑止することを求められている。 しかし、ポーレティー弁護士は以下のように言う。 「反マネーロンダリング法、グローバル企業セクターの規制、情報公開協力協定、および良好な企業統治に関する規則はすべて、実際の法管轄としてのモーリ シャスの利用を促します。」
エンゲル主席理事は、国際競争の見地から、個人と企業がうまく脱税をすることができてしまうため、ドバイやグアテマラのような無課税国を他の国々に 有害として非難する。ニィリエ氏は同意し以下のように言う。「ビジネスのスキームを立ち上げるときは、営業上の動機が一番にこなければならないのを覚えて おいてください。税金は二の次です。しっかりしたビジネス上の理由がなければなりません、そして、税金は決して第一の動機であるべきではありません。」
モーリシャスの場合、アフリカへの入り口としての確たるビジネス上の利点は、その地域市場への近さ、換言すれば輸送コストの低さである。 「為替管理が全くないので、資金の流れが簡単で、これはモーリシャスからアフリカ諸国に融資を行うのにおいて重要なポイントとなっています。」とニィリエ 氏は付け足す。
また、モーリシャスには、約30の国との良好な租税条約がある。 しかしこのことは、モーリシャスと30年もの重複課税回避協定(DTAA)を結んでいるインドにとっては、難題となっている。 モーリシャスの居住者であると主張して、外国法人がモーリシャスにペーパーカンパニーを設立し、次に、インドに投資する。すると、DTAAの下では、2国 のうち1カ国のみしかキャピタルゲイン税を徴収できない。キャピタルゲイン税はモーリシャスではゼロであるため、投資家は、インドとモーリシャス両方で一 切の税金を支払う必要がない。しかしモーリシャスは、第三国の投資家がモーリシャスを経由してインド投資するケースでは、キャピタルゲイン課税への姿勢を 変えることを検討している。
4年前に投資家優遇税制の一部として、モーリシャスは500,000ドルを統合リゾートスキーム不動産開発事業(ラ・バリス・マリーナかヴィラズ・バルリチー)に投資した個人は、自動的に国の居住資格を得る、統合リゾートスキーム(IRS)を導入した。
この計画は投資家にとって魅力的であると証明された。ラ・バリス・マリーナ及びヴィラズ・バルリチーの地元開発業者であるヘイズ・マトコビッ チ&アソシエーションズ社のロブ・ハドソンは、統合リゾートスキームへの投資家は、45%が南アフリカ人であるが、投資結果は15%から20%の 投資リターンを記録したと言った。 「売買して損をした人は誰もいません。」 「モーリシャスは金融危機でも被害はありませんでした。」
また、セイシェルとケニアは、自国の税金と不動産の制度を変え、モーリシャスの制度と同様なものにしようと考えている。
しかし、ハドソン氏は下記のように言う。 「モーリシャスには、政治上、経済上の安定性があり、投資した資金は安全ですが、ケニアへの投資は、ギャンブルであり、冒険的です。」
にもかかわらず、また租税と投資に対する取るにもたらない奨励策にもかかわらず、ケニアは地域の重要な拠点となっている。 ナイロビに拠点を置くキャプラン・アンド・ストラットンのパートナーである、オリバーフォーラー氏は、「所在地、輸送インフラ、および相対的な政治の安定 が長所となり、ケニアは常時、地域の中心となっています。」と言った。
「ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国東部、南スーダンに行くすべての交通網は、ケニアのインフラに依存しています。近くには、航空、道路、鉄道のハブとしてケニアに匹敵する国は存在しません。」と、Lexアフリカのサイト上でフォーラー氏は書いている。
彼は、こうした競争上の優位な点は、金融・投資センターとしてのケニアの短所を上回る傾向があるとしている。短所とは、高い源泉徴収税や、アフリカ 内の租税条約の欠如を含んでいる。 ケニアは、イギリスとインドとの二重税課税協定を有しているが、隣国ウガンダおよびタンザニアとは共に協定を結んでいない。
汚職、すなわち法務局や司法の信頼性の不足は、ビジネス上の大きな関心の的になっている。 「外国人投資家にとっての、もうひとつの主要な問題は、海外駐在員のための移住許可証の発行の遅れです。」と、フォーラー氏は言う。
たとえそうだとしても、東アフリカで活動する外国会社は、地域拠点として常にケニアを選ぶ。そして、フォーラー氏はその重要性が成長を促すと信じて いる。 「新憲法の施行以来、ケニアには、ビジネスに投資家の自信を生んでいる、程よい楽観主義があります。」 また、南スーダンは投資の目的地としてますます重要になるとされるが、そのすべての輸出入は、ケニアを通過すると予想されている。 そうなれば、「多くの道が開ける。」ことになる。
地域本部の設置の最初の選択選択肢として、南アフリカは残るだろうか。マザンスキーは言う。「税制と為替管理がないことは、絵の一部に過ぎませ ん。」 南アフリカに拠点を置けば、豊かな資本力を持った国で、洗練された銀行、会計、法律制度を享受し、メジャーかつ国際的な経済の中でビジネスができる。「ビ ジネスをするには、特にヨハネスブルグでは、この地域の他のどこよりも、今も現在も簡単であって、商業的に効率的です。」
ともあれ、時間とともに、これらのアフリカへのゲートウェー国のどれが最もすばらしい競争力を投資家に提供するかが明らかになるでしょう。


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