2011年6月27日月曜日

新たなタックスヘイブンの誕生?

キュラソー島とシント・マールテン島がオランダ連合王国を構成する自治領となったことで、オランダ領アンティルは公式に解体した。今、世間の関心は残された3つの島の特別自治体の将来の税制に集まっている。一部ではこれらが低税率地域になるとの声もある。

2010 年10月10日、キュラソー島とシント・マールテン島はオランダ領アンティルから独立し、より広範な自治権を獲得した。オランダ政府からの独立性を増し、 税収の完全利用の権利を得て、オランダ連合王国を構成する自治領となった。そして、オランダ領アンティルの残された3つの島である、ボネール島、シント・ ユースタティウス島、サバ島(BES地域)はオランダの特別自治体となった。

オランダ政府は、BES地域の税制度の予備法を承認した。法 人税の実質的廃止、1パーセントの固定資産税、5パーセントの分配源泉徴収税の導入などがその内容である。固定資産税は、5万米ドルを超える商業用固定資 産税のみに課税されるとのことだ。また、企業が何らかの受益者に対して分配をする場合は、企業に分配税を課す。さらに、BES地域は2011年に自国通貨 として米ドルを完全利用する予定である。一部では、こうした動きは新たなタックスヘイブンを作ろうという活動だとレッテルを貼られている。しかしながら、 オランダの大蔵大臣であるヤン・ケース・デ・ヤーガーは、「法人税はその税収がグローバルな経済環境から大きく影響を受け変動する傾向がある。一方で資産 税と分配税は、税収が安定して、予測可能であり独立している性質がある。こうした性質はこれらの自治体に役立つものである」と主張し、政府が新しいタック スヘイブンを作ろうとしているという見方を強硬に否定した。彼は、BES地域に拠点を置くビジネスが適切な理由に基づき運営され、脱税を奨励するものでは なく、地域経済に役立つものであることを担保するため、複数の立法上の措置が存在していると付け加えた。これらの措置には、多国籍企業が会社を設立する場 合、島内に5万米ドルを超える商業用固定資産を持っていることが必要との規制が含まれている。

キュラソー島とシント・マールテン島という新たに生まれた自治領における自治規則協定で、オランダの政府はキュラソー島とシント・マールテン島の外交及び 国防に関する責任を負っている。 また、オランダは債務免除をした条件として、両島の当初の金融及び財政の監督権を保持する見込みだ。この取引に基づき、両島は約10億ユーロが免除され る。また、両島は中央銀行と最高裁判所を共有することとなっており、アナリストは両島が似通った税制となるとみている。今のところ、両自治領は、2011 年の終わりまで、以前のオランダ領アンティル諸島税法を使用する予定である。新たな独立国として、両島は有害税制に関するEU規則に従う義務がある。EU 規則は、実体の経済活動なしで税制上の優遇措置を与えること、非居住者へ税制上の優遇措置を用意すること、透明性の欠如、地域外での活動に基づいた税制上 のインセンティブ措置を禁止している。 10月6日、オランダ下院の審議で、オランダ社会党のロナルド・ヴァン・ラークは、両島の政府は15パーセントの法人税率を導入したがっているが、BES 地域での事実上無税となる税率が、近隣の島々の間で不公平な税制競争を引き起こすことを恐れていると主張した。


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