2011年10月20日木曜日


IMFは、ロンドンのシティとEUに支援を受け、ギリシャが地中海の「オフショアのタックスヘイブン」として国を浮上させるのに余りある新たなスキームの提案をすることにより、ギリシャへ命綱を放った。
「私たちは現状の50%の税率にうんざりしています」と英国の銀行界の重鎮、アンジェラ・ナイトは言う。「タックスヘイブンとしてギリシャがあれ ば、私たちは資金をすべてそこに置くことができます。ギリシャはケイマン諸島より近く、そしてバハマ諸島よりも広いスペースもあり、ジャージーよりも食べ 物がうまい。これはすばらしく合理的な考えです。」
「その上、タックスヘイブンに必要な金融文化は、既に根付いています。誰も税金を納めていないのですから。」


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スイス、タックスヘイブンランキング首位に立つ


金融の秘密保持に関する新たな調査によると、ドイツ、イギリスおよびアメリカとの最近の協定にもかかわらず、世界の最も不透明な銀行システムは依然スイスであるとされる。
税公正ネットワーク(学者、NGOおよび政治活動家に支援された独立した非営利グループ)による主要な報告書によると、スイスは、銀行の秘密保持と タックスヘイブンとしての地位の面で、台風の目であり続けている。スイスは、ケイマン諸島とルクセンブルクを上回り、リストのトップに立っている。
しかしながら、スイスの専門家の多数は、スイスが今後数年間にその地位を低下させることを予想している。会計の専門家、ジャン・クリスチャン・ラン ブレットは、「スイスは銀行の秘密保持ための戦いに敗れたのだ」と話す。スイスの銀行は、2004年にタックスヘイブンであるのを止めたのだ。


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2011年10月7日金曜日

大金持ちのためのもう一つのルール


オフショアのシステムはますます好調である。世界貿易の半分以上は、タックスヘイブンを経由している。また、全銀行資産の半分以上、多国籍企業によ る海外直接投資の3分の1以上は、オフショアを通っている。約85パーセントの国際銀行業務および起債はユーロ市場で行われる。IMFは、小さな島々の金 融センターのバランスシートは、18兆ドル以上にのぼり、世界GDPのおよそ3分の1と等しいと推測されている。
2008年に米国会計検査院(GAO)は、アメリカ合衆国のトップ100の企業のうち、83社がタックスヘイブンに子会社を持っていると報告した。さらに、調査は、ヨーロッパの最大級の企業のうち、93社がオフショアの子会社を利用したことを示した。
タックスヘイブンとは、企業が正常な金融規制を回避できる地域と定義することができる。さらに、それらは、他の国との情報交換に協力することを個人が拒絶することができる秘密保護および取引環境を提供している。
また、こうした秘密主義の地域は、これらタックスヘイブンの活動から、自国自身の経済は保護している。このことは、彼らにもタックスヘイブンが有害であるということの暗黙の理解があることを意味する。
秘密主義の地域の最も重要な特徴は、地域の政治が、時には犯罪者をも含む金融サービスの利益に絡めとられており、オフショアモデルへの有力な政治的 反対がなくなっていることである。民主主義の過程において、反対意見によりこうした利益が害される危険は、ほとんど、あるいはまったくない。また、別の特 徴としては、金融サービス産業が地域経済のサイズと比べて大規模であるということにある。IMFは、2007年には、なんとイギリスがこのオフショアの定 義に触れるとしている。
シャクソンは、「利用可能な法的手段をすべて使用するオフショア操作の専門家」としてマードックの帝国を挙げる。エコノミストが1999年に調査した時は、ニューズ・コープは約6%しか税率を支払っていないとされた。
彼は、タックスヘイブンがどのように機能するか、バナナの商売を例にとって説明する。実際のバナナは、流通上、直接消費者に届けられる。しかし、会計上の文書の足跡はより遠回りとなる。
それは移転価格として知られる、共通の方策を通じたものである。
グループ内での取引価格を人為的に調節することによって、多国籍企業は、売り上げを低率課税のタックスヘイブンに付け、経費は税の控除ができる高税率国へ付けることができる。
バナナの例においては、税収は貧しい国から先進国へと移動する。開発途上国は毎年、企業の価格操作により、概算で1600億ドルもの損失を出していると言われている。
2006年のガーディアン紙の報告書では、イギリスで最大級のバナナ会社3社は、7億6000万ドルの販売をしているが、税金は約300,000ドルしか払っていないことが分かった。
2007年の会計検査院の研究では、英国最大級の企業のおよそ3分の1が2006年には全く税を納付していなかったことが分かった。
ロンドンのシティーはグローバルなオフショアのシステムの最重要部位である。シャクソンは、以下のようにシティーの変化を要約する。
「英国内の状況の変化を受け、シティーは入念で形式的な礼儀作法と、「してはいけないこと」の無言のルールがある管理された金融システム、そしてそ れを展開する大英帝国のジェントルマンクラブのような状況から、規制が緩和され、活気あり、イギリスの銀行によって支配され、新たにクモの巣のように広 がった、グローバルな金融センターに変化しました。」
シティーのオフショアのネットワークには3つの主たるの層がある。第一に、ジャージー、ガーンジーおよびマン島のような王室属領である。
これら3つの王室属領は、2009年の第2四半期にシティーへ融資した3320億ドルの資金経路となった。ジャージーの宣伝パンフレットは、自身に ついて、「ロンドン・シティーの延長」であると記述している。調査によると、これら3地域は、約1兆ドルの潜在的な租税回避資産を有していることが示され ている。
第2にイギリス領バージン・アイランズやケイマン諸島のような海外領土である。
ケイマン諸島は、世界第5の金融センターで、80,000社の登録企業があり、ニューヨーク市の銀行を上回る1兆9000億ドル預金残高を有する。 ケイマン諸島は、2008年、IMFに資本責任金は(預かり金および他の負債)、2兆2000億ドルと報告した。しかし、ポートフォリオの資産には、 7500億ドルだけしかない。この不一致は特に説明されず、明らかに深く疑わしいものだ。そして最後に、香港やシンガポールのような外部の国々がある。
これらいわば「衛星地域」のこうしたネットワークは様々な目的に役立つ。
第1に、シティーが国際的に移動する資本を引きつけることを可能にし、グローバルな展開を可能にする。
第2に、シティーはイギリスで禁止され、悪事として否定される取引をすることができる。
租税回避地はそれぞれ異なる種類の金融取引に特化している。バーミューダはオフショアの保険および再保険を引きつける磁石のようになっている。ケイマンは、ヘッジファンドが税と金融規制を回避するために、恵まれた場所である。

タックスヘイブンの起源は、オフショアの活動の新しい動きがロンドン・シティーで認識された50年代中頃までさかのぼることができる。当時、為替レートは固定されており、銀行は特定の目的以外には外貨を取引しないことになっていた。
しかし、ミッドランド銀行は商取引と関係がなかった米ドル預金を受け入れることにより、為替管理を破った。こうして、銀行が為替管理を踏み付け、ユーロ市場の始まりを示したときこそが、プロセスのスタートだった。
シャクソンは、オフショアのタックスヘイブンのはじまりは、カリブ海やチューリヒ、ロンドン・シティーを汚すような、スキャンダル的なものではないと主張している。
1959年の終わりまでには、約2億ドルの預金が存在し、1961年の終わりまでには、それは30億に達した。ユーロ市 場は急激に景気づき始めた。1970年までには、それは460億ドルになったと見積もられ、1975年までには、全世界の外貨準備高の規模を超えるように なったと考えられている。1980年までに、2兆6000億ドルに達し、1997年には、ほぼ90パーセントの対外融資がこの市場を経由するようになっ た。規制機関であるBISは、これらの市場規模を計算することをすでに諦めている。
60年代までに、米国の政策決定者は、ユーロ市場の影響を懸念するようになり、欧州の銀行の状況について議論するため に、連邦準備制度理事会はロンドンへ職員を派遣した。しかしながらこうした問題に取り組まず、ユーロドル市場の成長を保証するという点で、欧州の銀行の無 関心と、アメリカの銀行との利害は一致していた。
アメリカ政府は、外資を流入させる必要がある。そして、無税と匿名性はそれを引き付けるのである。そして、資本逃避という用語は次のことを示唆する。犠牲者、すなわち、資金を吸い取られる国は、本当の事件にならない限りは、資金を追跡することができないということである。
イギリスはすべての海外領土において、数年前に汚職疑惑に関連してタークス・アンド・カイコス諸島で起きた事件のように、何かまずいことが起きた場合、その責任を逃れるために十分な距離を置いている。

最後に、シンガポール、香港およびバハマのような独立国は、イギリスのグローバルネットワーク中の大きな部分を占めている。
さらに米国には、タックスヘイブンそれ自体の多層的なネットワークがある。犯罪が外国で行われた場合であれば、アメリカの銀行にその犯罪資金を預けることができるとも思われるのだ。
アメリカの最も大きな影響を受けたタックスヘイブンはパナマである。スタンダードオイルがアメリカの税を回避することを可能にするため、パナマは1919年に外国船の自国船籍登録を始めた。
1927年には、ウォールストリートの利害を受け、パナマが緩い会社法制を導入したことにより、オフショアの金融制度がこれに続いた。
同様に、アメリカでの重要な進展として、デラウェアでは、巨大なタックスヘイブンがアメリカで生まれることを意味する様々な立法がなされた。こうした規制緩和は、先進国、特にアメリカの最近の金融危機の根源と考えられる。


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世界の新たな企業向けタックスヘイブンの観察


アメリカ政府は、連邦予算の赤字を削減するという難題に取り組んでいる。さて、もし私たちが、赤字の足しにできる年間600億ドル以上の金銭のポットを見つけたと言ったら、あなたは、どう思うだろうか。
その資金とはアメリカの企業から連邦歳入庁に納税されていない税金である。税務当局への納税を免れる主な方法の1つとして、利益を海外へ留保する方 法がある。企業は、35パーセントの法人税率が他国に比べて高いのでそうせざるを得ないのだと言うだろう。確かに、アメリカの税制は、国から事業を移動さ せるよう、企業を促進するように見える。

企業がタックスヘイブンを探し出すことは特に目新しくはない。80年代及び90年代には、無税のバーミューダ諸島及びケイマン諸島への資本流出が あった。オバマ大統領が脱税を取り締まる事を警告した際、多くの会社はカリブ地域を去る事を決めた。しかし、3月に我々が最初に報道した通り、その資金は アメリカにもどらず、スイスのような、より安全な避難場所へ移動していった。
これらの企業の一部は、スイスの一味変わった、ツークと呼ばれる小さな中世からの都市へと移動した。
ハンス・マルティ(ツークの経済発展局の責任者)は、近くの雪で覆われた山脈を見せてくれた。しかしながら、ツークの主なセールス・ポイントはアルプス山脈の眺めではない。彼は、ツークの税率は約15、16パーセントであるとレスリー・シュタールに伝えた。
シュタール「アメリカでは、35パーセントです。」
マルティ「知っています。半分ですね。」
マルティは、恐らくツークがスイス最低の税率であるシュタールに言った。
シュタール「したがって、ここはタックスヘイブンの中のタックスヘイブンであると?」
マルティ「恐らくそうでしょう。」彼は認めた。
ツークの町の人口は26,000である。地域の企業の数は、30,000あり、平均で年間800社増加している。しかし、そのうち多数の企業は、郵便受けがあるだけのペーパーカンパニーだ。
テキサス選出の民主党連邦議員ロイド・ドゲットは、最近のこうしたいくつかの企業の動きは、はたして合法なのかという疑問を提起している。
「よい例が、わがテキサスの企業にも1つあります。最近のニュースにあった、トランスオーシャン社です。」ドゲット下院議員はシュタールに言う。
トランスオーシャンは、BPが起こした巨大な石油流出事故の際の掘削装置を所有していたが、同社は2年前にツークへ移動した。

ドゲット「私は、同社が現在、さらに多くを移動させたかどうかは分かりませんが、同社はまだヒューストン・エリアの中に約1,300人の従業員がいたはずです。スイスでは、12、13人にすぎません。」
シュタール「また、しかし、同社は、スイスに本部を置いていると主張しています。」
ドゲット「彼らは本部がスイスであると主張しており、その目的は税であると認めています。また、彼らはそれをすることによって、つまり、アメリカの籍を放棄することによって、同社は約20億ドルを節税したのです」

シュタールは、ツークへ行き、同社の業務を取材することに決めた。

入口の女性は、「現在、上司はここにおりません」とシュタールに伝えた。
彼女は、上司はそこにおらず、用があるなら地球の裏側であるヒューストンの誰かに電話してくれと言った。
シュタール「しかし、ここは本部でしょう」
女性「そうです」
女性に、CEOはここにいるか、また、普段ツークの会社に出勤しているかどうか尋ねたところ、彼女は「いいえ」と答えた。ツークへ移動したもう一つ のテキサスの企業には、100億ドルの油田サービス会社、ウェザーフォードがある。同社は、まだヒューストンに2,800人の労働者がいる。しかし、公式 文書によれば、それらはツークの小さな建物に本社があるとされている。
しかし、外の看板には、ウェザーフォードの名前はない。
「やっと見つけた」とシュタールは、建物の入り口の郵便受けの列を探しながら言った。
「ここに、ウェザーフォード・インターナショナルと名前が出ている、郵便受けがあります。しかし、どこへ取材に行けばいいかもわかりません。」
そのため、シュタールは各ドアをノックし始めまた。
「私たちはウェザーフォードを捜しています。この建物にありますか。」
シュタールは、会計事務所で働く1人の女性に尋ねた。
「はい」彼女は返答しました。
「お待ちください。調べます」
シュタールは、ウェザーフォードが取締役会のために借りているという会議室を示された。しかし、ウェザーフォードのヒューストン事務所では、取締役はこの地には来ていないと私たちに言っていた。

では、これらの大企業は、まんまと当局を欺いているのか。それは違う。ツークおよび米国の税法の双方の下、ツークに実際に所在せずとも、その低い税率を享受することは、完全に合法である。
しかし、ドゲット下院議員はそれを変えたいと考えている。
「あなたは、企業がどこで書面上存在するかにかかわらず、意思決定がおこなわれ、役員が実際に住んでいるところで課税するという法案を提出しましたね。」シュタールは言った。
「そうした企業にヒューストンに籍を置く他の企業が払うのと同じように税金を払わせてください。経営管理をしている場合、企業はアメリカで税金を払うべきです。「私は、それが公平であると思います」とドゲットは主張した。
ドゲットの法案を脅威に感じ、トランスオーシャンおよびウェザーフォードは、経営幹部をジュネーブへ送った。トランスオーシャンのトップ役員の10 人は、ジュネーブ地域に住んでおり、CEOから最高財務責任者、税務担当のヴァイス・プレジデントまで、皆ジュネーブのオフィスビルの最上階から2フロア で働いている。
トランスオーシャンはカメラの前で我々の取材に応じない。また、ウェザーフォードも同様である。ウェザーフォードは、ジュネーブにCEOとCFOを移動させた。現在、CEOの米国からの流出がはじまっている。
「私たちは、弁護士が抜け穴を見つけることができない法律を書くことができないのです。これはアメリカ全体の問題です」とドゲットが説明した。
「あなたは連邦議会にいます。なぜ議会は、こうした事態が起きることを可能にするような法律を作成したのですか。」シュタールは尋ねました。
「ロビイストから、多くの干渉や圧力がありました。また、本当に優秀な税務弁護士は、次々とシステムをごまかす方法を考えるのです。」連邦議員である彼はこのように返答した。
「しかし、それはごまかしですか。それとも、それは法律なのですか。」
シュタールは尋ねました。
「私は、これらの企業のうちのいくつかがアメリカ籍を放棄し、外国の籍に変更しようと思ったことは、そもそもごまかしだったと思います。
「それらの企業は、我が国の税法中の条項を悪用し、オフショアへ移動したのです。」とドゲットは言った。
議会は、オフショアへ移動したい企業であっても、依然35パーセントの税率を払わなければならないと定めた2004年可 決の法律で、その動きに終止符を打とうとした。しかし、税法の抜け穴のために、企業は、外国の子会社にビジネスを移動させることにより、実質的に税を引き 下げることができる。
シュタールは、「これらのすべての会社が、税のために海外へ移転していると聞いたとき、人は不正の匂いを感じると思います。」と、スイスの税務弁護士チエリー・ボイテルに問いかけた。
「ええ。問題は、企業は、その公平な分担を支払う道徳的義務を持っているかでしょう」と彼は答えた。
「私は、もし可能であるならば、アメリカの多くの企業はアメリカでの業務を維持したいと思っていると思います。しかし、 企業は株主を満足させる必要があるのです。アメリカは世界で最高の税率であり、企業は、法人税の悪夢ともいえる、アメリカに存在しているのです。」とボイ テルが説明した。
実際に、米国は、先進国では日本に次いで、世界で2番目に高い税率である。そのため、アメリカはそれを引き下げることを考慮している。
「我々は、すでに恐竜のように古ぼけた税制に対処しているのです。」とコクチマスのCEO、ジョン・チェンバースは、シュタールに言った。
我々に説明するCEOは、チェンバースである。
シスコは、サンホセ(カリフォルニア)に本社を置く巨大なハイテク企業である。
彼は、我が国の税率は正気でないと言う。特にカナダを含む他の多くの工業先進国が我が国の企業や雇用を海外に誘致するため、税率の引き下げに取り組んでいる現在、それは、そうした方策を採ることを会社に強いるものだとする。
「世界中の他のすべての政府は、アメリカは間違っていることを分かっていいます。」
そして、彼らはこう言うのです。
「我が国は、もっと低い税率にします。以上。」
「それは、西ヨーロッパ全体、そしてアジアの先進国において見られる動きです。」とチェンバースは言う。
税のような問題は、CEOとして評価される項目になるのか聞くと、チェンバースは「もちろん」と答えた。
彼は高まる需要に応えるため、海外へのシスコを展開している。それはまた、企業の税負担を引き下げるためでもある。過去3年にわたる課税税率の平均割合はちょうど20パーセントだった。
経済学者マーティン・サリヴァンは、それがシスコのような会社にとって、標準的な対処の手順であると言う。
「アメリカの多国籍企業は、研究施設、生産設備、地域拠点を、スイスおよびアイルランドへ移しています。」
「また、それには多くの雇用を伴っています」と彼はシュタールに言った。
サリヴァンは、アイルランドは、アメリカのちょうど3分の1の税率であると言う。したがってダブリンの周辺が、まるでシリコンバレーのように見えることにさして驚きはない。多くの有名な企業が、外国へ行くことを強いられている。
「アメリカでは税率35パーセントで、アイルランドは例えば12.5パーセントの税率であれば、アイルランドに工場を移転させる誘因がありますね」と彼は説明する。
「600のアメリカの企業がアイルランドにあります。また、彼らは100,000人を雇用しています。」とシュタールは指摘した。
「その仕事は、アメリカから流出したもので、それらは税金を理由としてアイルランドへ移動したのです。」
「アメリカ財務省は、効果的にアイルランドへの投資を補助しているのです。」とサリヴァンが言った。
「そこがそれほど素晴らしいのであれば、なぜ全員がアイルランドに行かないのでしょう。」とシュタールは尋ねた。
「ほぼ誰もが、アイルランドに行っています。」とサリヴァンは応えた。
「すべての製薬会社、すべてのハイテク企業。アイルランドに移転しないことは、愚かです。」彼は返答しました。
「アイルランドには、驚くほど多くの企業があることがわかりました。」シュタールはシスコのジョン・チェンバースに言った。
「そうですね」彼は認めた。
シュタールの計算によると、シスコはアイルランドで8つの会社を有している。
「私たちは、株主にとって合理的な活動をします」とチェンバースは言った。
私たちは「我が国には、貴社が必要です、私たちは貴社に優遇税制を与えます。貴社に我が国で雇用を増やしてほしいです」 などと言ってくれる国々に、進出するのです。「これが我が国のやり方だ。だからこれに従え。」というアメリカには、私たちは自力で対処するしかないので す。さもないと、時代から取り残されてしまいます。

年々一般的になっている方法として、特に製薬会社やグーグルのようなハイテク企業は、特許、プログラム、薬剤の化学式、果てはロゴなどの分野で、アメリカの拠点を低税率国へ移転することで、35%の税金を支払わないようにしている。
「100年前には、もし企業が移転したくても、工場や機械を撤去して、すべてを移動させなければならなかったでしょう。」
「今日では、企業は、ただ紙の上でほとんどの財産を、移動させることができるのです。」とスイスの税務弁護士、チエリー・ボイテルは説明する。
「また、コカ・コーラの場合は、アメリカの製造タンクからレシピを抜き出して、スイスの製造タンクにそれを入れればいいのです。」と彼が言った。
「それをできるのは、スイスなのですか?」
シュタールは尋ねた。
「ええ。」彼は答えた。
ツークでは、薬剤の化学式やプログラムを外国へ登録する場合、アメリカの会社は、ほとんどの販売がアメリカで行われていても、課税利益の多くはスイスにあると主張することを認められる。
経済学者のマーティン・サリヴァンは、これらの特許と利潤の移転が、企業が35パーセントの税率をなし崩しにし、数十億ドルを留保することを可能にした戦略であると、議会で証言した。
これらの方策が、2007年から2009年までの平均課税率が、ファイザーで17パーセント、メルクは12.5パーセント、GE がちょうど3.6パーセントとなっていることの仕組みになっているという。
「データを調べたところ、この現象は明らかに一貫性があります。税率は下がっており、利益が、オフショアに移動する傾向は、過去数年にわたってますます加速されています。」とサリヴァンは言った。
従って現在、こうした企業は、ツークのような海外へ留保している利益が存在している。もしそうした資金が本国に戻る場合、35パーセントまるまる課税されることになる。一方で、もしそうした資金を海外へ残しておけば、内国歳入庁はそれに触れることはできない。
企業は、いわば税法のせいで、ほとんど無期限にやむなく、アメリカから資金を遠ざけている。
「わが社は海外に資金を残し、雇用を海外で生み出し、海外企業を買収し、プラントを海外へ建設しています。私は、本当は、そのお金をアメリカに戻したいのです」とジョン・チェンバースがシュタールに言った
チェンバースは、シスコは海外に、アメリカに戻すことができるかもしれない資金は約400億ドルあるとシュタールに言う。
アメリカの企業の、海外にとらわれた資金の合計額は、1兆2000億ドルに上る。
チェンバースは、たった一度でも減税措置があれば、5パーセントの税率で資金をアメリカに戻すことが可能になると主張している。それは経済を刺激し、雇用を生み出すだろうと彼は言う。
しかし、オバマ政権は、以前このアイデアに反対した。
それが2005年に実際に試みられた時には、財務省は数十億ドルをかき集めたが、生み出された雇用はほとんどなかった。
「万が一、明日に議会が即席の法律を可決し、税率が20パーセントになったら、どうでしょう。はたしてそれはすべてを解決するでしょうか。」
シュタールは尋ねた。
「私は、競争力を高めることが、最も大切な要素だと思います」、チェンバースは返答した。
「35パーセントから20パーセントまで税率を引き下げると、税収約2兆ドルを失います。我が国は、恐ろしい財政赤字による危機、累積債務による危 機のなかにあります。それは、失うには多すぎる税収です。それに関して、あなたはそれに対してどんな答えがありますか。」とシュタールは聞いた。
「私の答えは、非常に単純です。世界の他のすべての先進国は既にそれをしたのです。私は、なにも、私に好意や助力を与えてくれるように頼んでいません。」とチェンバースは答えた。
「つまりそれは、」シュタールと言いかけたとき、チェンバースは「我々が求めていることは、これだけです。すなわち、「我々に平均的な競争環境を与え、我々をアメリカで活動できるようにしてください。」と答えた。

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